第171章 私は平等だ

シャワーを浴びてから五分後、今野敦史はすでに着替えを終えていた。

 二人は前後して部屋を出た。幸いロビーには誰もおらず、使用人の姿さえ見当たらない。

 今野夫人の計らいだろうと、中林真由は悟った。二人きりの時間を邪魔させたくなかったのだ。

 今日一日、周囲が自分と今野敦史を復縁させようと画策しているのを肌で感じていた。だが、住む世界が違う二人に未来などあるはずがない。平行線はどこまでいっても交わらないのだ。

 玄関先に立った時、彼女は今野敦史を振り返った。

「車で来ています。どちらへ? お送りします」

「俺にあのポンコツに乗れと言うのか?」

 今野敦史は不機嫌そうに彼女の愛車を...

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