第177章 心が和らぐ

「それ以外にどうしろって言うんだ? お前の大好きな今野さんが、あいつの子供を欲しがるとでも思ったのか? 中林真由は賢い女だよ」

 北村一馬はそう言って、千葉雄太の首に腕を回した。

 中林真由は長年今野敦史に連れ添っている。当然、彼の気性は誰よりも熟知しているはずだ。

 もし隠れて子供を産み、それを盾に今野敦史に結婚を迫ろうものなら、それこそ収拾がつかない事態になる。

 それに、もし本当に子供ができてしまえば、彼女がこの関係から抜け出すことなど不可能になるだろう。

 日陰の身のまま、認知もされない子供を抱えて男についていくなど、どの女にとっても耐え難いことだ。

 特に中林真由のよう...

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