第188章 料理を作る

今野敦史はそう言い捨てると、瞼を閉じた。車から降りる気配など微塵もない。その態度は、まるで自分の意のままにならないことなどない王様のようだ。

 中林真由は彼に見えないようこっそりと拳を振り上げ、それから車を降りた。

 彼の癇癪が始まってしまえば、こちらが折れない限り、数時間もここで睨み合う羽目になることくらい分かっている。

 わざと一番甘いドーナツを買ってやったのだ。甘いものが苦手な今野敦史に、これが食べられるはずがない。

 彼女はドーナツの入った紙袋を今野敦史に放り投げ、声をかけた。

「今野社長、到着しました。降りてください」

「中林秘書は白タクか何かか? 金だけ取って客を放り...

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