第26章 全部あなたのせい

「中林真由、やっと電源入れたのね。今日、会社に来ないの?」

山崎奈々未は声を潜めた。「今野社長が怒ってるわよ。いつ頃着けそう?」

中林真由は時間を確認した。すでに十時半。今日はマネージャーが契約のために来社する日だったはずだ。

自分がいなければ、ちょうど阿部静香が代わりにその仕事を担当し、契約とインセンティブをものにするのではないか?

中林真由は弱々しく言った。「ごめんなさい、病院に入院してるの」

「えっ?また足に何かあったの?」山崎奈々未は少し驚いた様子だった。

中林真由が足首に包帯を巻いて出勤する姿を見て、皆は今野敦史は非情だと噂していた。まともに歩くことさえできないのに、走...

ログインして続きを読む