第38章 今野敦史が好きなだけ

今野敦史が去った後、中林真由はようやく静けさを取り戻した。

医師から一日入院して様子を見るように言われ、彼女はそれを拒むことなく、小林洋子に電話をかけた。

小林洋子は休みを取れなかったが、すでに元気いっぱいに仕事に戻っており、中林真由にもう大丈夫だと伝えてきた。

中林真由は少し疲れを感じ、再び目を閉じてしばらく眠りに落ちた。

昼過ぎ、彼女は突然電話の呼び出し音で目を覚ました。オフィスの番号が表示されているのを見て、彼女は渋々電話に出た。

「山崎奈々未、また何かあったの？」

「なぜ電話に出ない？」

今野敦史のやや苛立った声が響いた。

中林真由は少し考え、彼のプライベート用の番号...