第40章 何を恐れることがある

中林真由が彼の意図を掴みかねているうちに、今野敦史はすでにドアへと向かっていた。

「今から帰る。お前も一緒に来い。体調が悪いと言っておけ」

中林真由は反論しようかとも思ったが、確かに今野家に長居したくはなかったので、素直に頷いて同意した。

中林真由は今野敦史の車に乗せられたが、途中、今野敦史は運転手に車を停めさせた。

「まだ用事がある。お前は送らない」

中林真由は唇を尖らせる。「阿部静香に会いに行くの?」

今野敦史は携帯に目を落とし、それから何か面白いことでも思い出したかのように、ふっと笑みを漏らした。

「彼女、生理で体調が悪くて、ケーキが食べたいんだと。子供っぽいんだ」

中...

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