第56章 トラップ

中林真由は窒息しそうだった。あまりにも激しいキスに、頭の中が真っ白になり、体から力が抜けていく。

今野敦史は彼女のことを知り尽くしていた。彼女の敏感な場所も、どうすれば屈服させられるかも、すべてを。

今野敦史は彼女をがっしりと押さえつけ、もう片方の手は彼女の手の動きを絶えず急かしていた。

ひっきりなしに誰かが出入りするドアの外。中林真由は唇から漏れそうな吐息を必死にこらえたが、それでも唇と歯が擦れ合う音は抑えきれなかった。

ドアの外から時折聞こえてくる冗談めいた声。そのたびに今野敦史はさらに興奮し、大きな手が落ち着きなく動き始める。

彼がセックスから遠ざかっていたのは事実だった。自...

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