第62章 彼女を残してはいけない

 竹田南は疑念の眼差しで中林真由を見つめた。今野敦史が彼女を気に入ったというのだろうか?

 今野敦史のそばに仕えてもう二週間になるが、あらゆる手管を尽くしたにもかかわらず、彼は一度たりとも自分に指一本触れてこなかった。

 もし事前に今野敦史について調査していなければ、彼が同性愛者なのではないかとさえ疑ってしまっただろう。でなければ、どうして自分に少しも興味を示さないというのか。

 今、中林真由に選択を迫られ、彼女が今野敦史についていくと決めるのは当然のことだった。

 格好良くて金持ち。この手にしているバッグだけで数十万円もするのだ。自分は馬鹿ではない。

 高橋社長が提示した金額も確...

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