第7章 彼女のストッキングを引き裂く

今野敦史の傍には新しい女がいた。中林真由は彼の元へ戻る気などなかったが、一つ厄介な問題があった——彼女の契約が、あと三ヶ月で満了を迎えるのだ。

彼女は会社と十年間の競業避止契約を交わしており、山崎奈々未からの電話で、そのことを思い出した。

「三ヶ月なんてあっという間よ。山間プロジェクトが終わったら、あなたはどうするの? 競業避止契約を結んでいる以上、会社を辞めたら関連業界では働けない。そうなったら、あなたの十年間の実務経験も人脈も、全部無駄になっちゃうのよ」

「たとえ会社に残るつもりがなくても、まずは本社に戻って競業避止契約を解除してもらいなさい。自分の将来のためにも、よく考えるべきよ...

ログインして続きを読む