第81章 離間の計

今野敦史は、きりきりと奥歯を噛みしめながら中林真由を睨みつけていた。だが中林真由はもう彼の胸元に身を伏せ、指先で彼の乳首をこね回している。

さすがの今野敦史でも、この状況ではさすがに堪えきれない。だというのに、肝心の両手は動かない。

呼吸はどんどん荒くなっていく。歯を食いしばり、喉元までせり上がる声を必死に飲み込んだ。

受話器の向こうで江口花が、物音がしないのを不審に思ったのか、もう一度声をかけてくる。

「敦史さん、まだホテルにいらっしゃるんですか? それとも会社に戻られたんですか?」

中林真由は、胸に頬を預けたまま動きを止め、携帯を掲げた腕だけをそのままにして、仰ぐように今野敦史...

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