第83章 気をつけて

翌日、中林真由は午前中いっぱい仕事に没頭し、昼休みになるとすぐに会社を出た。

向かう先は病院、母の見舞いである。

前回、今野敦史が口にした言葉が、ずっと脳裏に焼き付いていた。

彼が自分の家の事情になど興味を持っていないと思っていたが、どうやら常に関心を寄せていたらしい。

もっとも、中林真由もそのあたりは理解している。今野敦史のそばに仕える人間は、それがスタッフであれ愛人であれ、身辺調査を徹底されるのが常だ。

例外がいるとすれば阿部静香くらいだろうが、それは彼女が唯一無二の存在だからに過ぎない。

中林真由は常に母を気にかけていた。何度足を運んでも、母は「何事もない」と言い、看護師も...

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