第85章 彼女が気に食わない

高橋社長は、これほど長い時間放置しておけば、今野グループで最も寵愛を受けている秘書である中林真由のことだ、きっと痺れを切らして帰るだろうと思っていた。

だが予想に反して、彼女は帰るどころか、扉の前に立ち、涼やかな笑みを浮かべていた。

「高橋社長、お疲れ様です。もう退社なされますか?」

高橋社長は呆れたように彼女を見やった。

「家に帰るのだが、君もついてくるつもりかね?」

彼は目を細め、中林真由の全身をじろりと値踏みした。

「それとも、俺についてきたいのか? 中林秘書のような美人なら、我が家は大歓迎だがな」

「それは光栄ですわ」

中林真由は軽やかに微笑んだ。

「先月、ご子息が...

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