第98章 恋人ではない

突然、中林真由は小さくくしゃみを連発し、背筋に悪寒が走って身を震わせた。

実のところ、朝から今野敦史に振り回されて体が冷えていた上に、先ほどの水難だ。風邪を引くのは時間の問題だろう。ここ最近、心身ともに疲労が蓄積しており、今の彼女は限界寸前だった。

額に手を当てる。幸い、熱はない。この孤島で寝込むのだけは避けたかった。

浴室のドアを開けると、今野敦史はすでに寝室のシャワールームで身を清め、着替えを済ませていた。

目の前のテーブルには、湯気を立てるマグカップが置かれている。中身は生姜湯だろうか。

「飲め」

今野敦史が顎でカップを指し示す。

中林真由は遠慮せず、歩み寄ってそれを一気...

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