第9章

長谷川冬月視点

俺はスマートフォンの画面に表示された別れのメッセージを睨みつけた。その言葉は、どんな刃物よりも深く俺を切り裂いた。パニックの最初の波はすぐに引き、代わりに冷たく研ぎ澄まされた怒りが全身を支配した。

これで終わりだ。ついに奴は、彼女にこれを送らせたんだ。

「ちくしょう、綾羽……」

彼女にではなく、彼女が耐えてきた地獄に対して、俺はそう囁いた。三年間、何者でもなかった俺ががむしゃらにここまで這い上がってきたのは、名声のためでも金のためでもない、彼女を守るに足る強固な砦を築くためだ。そしてこの三ヶ月、俺は影で静かな戦いを繰り広げてきた。

デスクに置いてあった暗号化...

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