基本解剖学

指をノックスの左胸へと滑らせ、心臓があると思う場所で止める。

「違うな」と彼は言う。

すると、彼の手が私のシャツの下に入り込む。驚いて息を呑み、反応しまいとこらえるが、彼の指は上へと這い上がり、やがて手のひらが私の左胸のすぐ下に収まる。私が指差した場所とは少し違う。

「ここだ」彼は言う。「心臓はここにある」

「シャツの中に手を入れないで教える方法だってあるでしょう?」私はぶつぶつと言い、マッドに視線を走らせる。彼は疑わしいほど熱心に道路を見つめている。

彼の手がシャツから抜け出し、今度は私の首筋を捉えて、ぐっと引き寄せる。

息ができない。

私たちの距離とか、この隙間を埋めたら彼の...

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