私でもいい?

心臓が、一度にいくつもの拍動を飛ばした。それは恋のときめきだとか、胃のあたりがふわふわするとか、そんな可愛らしいものではない。断じて違う。胸を真正面から殴りつけられ、肺が呼吸の仕方を忘れてしまうような、そんな強烈な衝撃だ。

昨夜の記憶がすべて、瞼の裏で再生される卑猥なスライドショーのように押し寄せてくる。反射的に太ももに力が入る。口の中はカラカラだ。脈拍はめちゃくちゃに乱れている。

「スローンを知っているの?」

ヴィクトリアが尋ねたことで、この部屋に他にも人がいるという事実を思い出す。

ノックスは視線を逸らさない。「ああ、知ってるよ」

「ニューヨークで会ったの?」

彼は母親のそばを...

ログインして続きを読む