間違った兄弟との出会い

私はフィンのジャケットを掴み、彼の抗議を無視して会社の駐車場まで引きずっていく。

彼の車の前に着いた瞬間、私はくるりと向き直って彼と対峙した。

「あなた、どうかしてるわよ」私は問い詰める。「元カノの結婚式に乗り込むなんて本気? 頭がおかしくなったの?」

フィンは片手で髪をかき上げた。「けじめが必要なんだ、スローン」

「違うわ、フィン。あなたに必要なのはプロの助けよ。セラピーに行きなさい」

「愛する女性が他の誰かと結婚するのを、ただじっと座って見ているなんてできないんだ」

ああ、もう。彼の顔をぶん殴ってやりたい。デライラ・クレストフィールドの存在なんて忘れてしまうくらい、激しくキスしてやりたい。空から星が落ちてくるほど叫び出したい気分だ。

「で、どうするつもり? ヴァージンロードを強行突破でもするの? 彼女の晴れ舞台を台無しにして? 祭壇から花婿を突き飛ばして、ロマコメの主人公気取りで永遠の愛を叫ぶわけ? 正気になってよ、フィン。あなたはそんな安っぽい男じゃないでしょ」

「結婚式をぶち壊したいわけじゃない」彼はぼそりと呟く。「ただ……彼女の目を見て、もう終わりなんだと言ってほしいだけなんだ」

私は息を呑んだ。

彼が憎い。未だにデライラに、愚かで哀れなほど恋い焦がれている彼が憎い。あれだけのことがあったのに――数えきれないほどの失恋を経てもなお――彼はデライラこそが太陽や月や星を空に輝かせているのだと信じ込んでいる。

「そう。でも、私は行かないからね」と私は言った。

「どうして?」

「行きたくないからよ」

「君も行くんだ、スローン。議論の余地はない」

「行きません」

「君が必要なんだ」

ああ。

その言葉だ。その言葉が私を切り裂き、この駐車場で血を流させる。

自分の脈が跳ね上がるのが憎らしい。彼が未だに私に対してこんな力を持っていることが憎らしい。

「もし……計画通りにいかなかったら」彼は一歩近づいて言った。「親友の君にそばにいてほしいんだ。もしデライラが本当に結婚してしまったら、俺一人じゃ耐えられそうにない」

もちろん、彼は私を必要とする。いつだってそうだ。

私はあまりにも長い間、ボロボロになったフィンを繕い続けてきたから、記憶だけで彼を元通りに組み立てられる自信があるくらいだ。彼のひび割れも、欠けた部分も、すべて知っている。壊れた彼の破片をこの手で拾い集め、元の場所にはめ込んだ回数は数えきれない。

でも、私は疲れた。

愛し返してくれることさえない彼を愛することに、私はもう疲れ果てていた。

喉の奥のしこりを飲み込み、無理やり彼の目を見据える。「私はあなたの精神安定用ペットじゃないのよ、フィン」

「頼むよ、スローン。重要じゃなかったら頼んだりしない」

そして私は、あっさりと折れる。

なぜなら私は弱いから。惨めだから。そして、彼を愛しているから。

これからもずっと、愛し続けるだろうから。

「いいわ」私は言った。「でも、どうせ悲惨な結果になるに決まってるけど、今回は慰めないからね」

口にしたそばから、それが嘘だと私たちは互いに分かっていた。

フィンは少年のような、片方の口角を上げた笑みを浮かべる。私の心臓を跳ねさせる、あの笑顔だ。「交渉成立」

「せめてファーストクラスのチケットは取ったんでしょうね?」

「俺がエコノミーに乗らないのは知ってるだろ、スローン」

「勝手にしなさい」

私は踵を返し、オフィスへと歩き出した。

本当にやるんだ。

元カノの結婚式に乗り込むために、国を横断して飛び立つなんて。

一体、何が起きるっていうの?

~~~

[七週間後]

アッシュビル地域空港で一時間以上も待っている。スーツケースを足元に立てかけたまま。

フィンは着陸と同時に出迎えてくれるはずだった。けれど当然のように、感情のカオスと悪手(あくしゅ)の達人であるフィン・ハートリーの姿は、どこにも見当たらない。

電話もしてみた。出ない。

メッセージも送った。既読スルー。

百回目となるスマホの確認をする。まだ連絡はない。バッテリーは残り12%――Uberを呼んで最寄りのホテルを探すのが関の山だ。

スマホを壁に投げつけそうになったその時、地獄の底から這い出してきたような低いエンジン音が聞こえた。周囲の人々が振り返って凝視するほどの、雷のような轟音だ。

顔を上げると、巨大な黒のフォード・マスタング・シェルビーGT500が、私の目の前で滑らかに停止するところだった。

窓が下りる。そして――神よ、助けたまえ――ハンドルを握る男は、「罪」そのもののような姿をしていた。

間違った意味で美しい。危険な香り。鋭い顎のライン、黒い髪、そして全身黒ずくめの服装は、これから放火か殺人でも犯しに行きそうな雰囲気だ。

彼の視線が私の頭のてっぺんからつま先までをなめ回し、品定めをする。私は旅で皺になった服を伸ばしたり、髪を直したりしたい衝動を必死に抑えた。

「スローン・マーサーか?」と彼は言った。

私は瞬きをする。「あなたは?」

「『ハズレの兄弟』とでも呼んでくれ」彼は答えた。

「え?」

「無作法を許してほしい」彼の声は滑らかで深く、そして腹が立つほどセクシーだった。「俺はノックス・ハートリー。フィンの兄だ。あいつに頼まれて、あんたを実家まで送りに来た」

前のチャプター
次のチャプター