隠しカメラ


――フィン――


デライラが俺の上で息を弾ませ、手入れの行き届いた爪を俺の胸に立てて跳ねている。彼女はまるで何かの宗教的な恍惚の最中にいるかのように頭を仰け反らせているが、俺が感じるのは彼女の重みだけだ。肌と肌が触れ合う感触、意味のない運動。

俺の心はここにはない。

この部屋にすらいない。

俺はアッシュビルにいる。

まだ、あの忌々しい家に。

スローンが車のドアを叩きつけ、決して振り返ろうとしなかったあの瞬間に囚われたままだ。

集中しようとする――デライラの手が俺の胸に触れる感触や、彼女が俺の名を呼ぶ喘ぎ声に意識を向けようとする。だが目を閉じるたび、浮かんでくるの...

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