クリームなし


――スローン


私はゆっくりと部屋に足を踏み入れる。リノリウムの床を踏む足音は柔らかい。私の視線は、フィンのギプスをはめた腕を放したばかりの、ノックスの手に釘付けになっていた。

二人とも私の質問には答えない。

言葉では。

だが、その沈黙は二人の間の空間を埋め尽くすほどに騒がしい。

フィンは今、ベッドの端ギリギリに腰掛けている。まるで逃げ出そうとしているかのように体を斜めにし、怪我をしていない方の手でマットレスの端を強く掴んでいる。ノックスは彼を見下ろすように立っていた。顎を引き締め、その瞳からは感情が読み取れない。手は何事もなかったかのようにポケットに戻されたところ...

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