私はいつもあなたが欲しい


――ノックス――


キックボクシングのリング上で、対戦相手から何度かいい一撃をもらった。最後の一発は、あやうく肋骨にヒビが入るところだった。だが、それこそが俺の望みだ。痛み。それが、俺がまだ生きていることを実感させてくれる。

「おいおい、ハートリー」リングサイドから誰かが野次を飛ばす。「証券マンなんかに蹴り負けるつもりかよ?」

笑い声が起こる。

対戦相手が荒い息を吐きながらニヤリと笑う。俺より若く、たぶん二十代前半だろう。生意気盛りで、手足が長く、フットワークも軽い。第一ラウンドから軽口を叩き続けているが、俺はあえて言わせておいた。

いつだって、相手に「勝てる」と思わせ...

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