第144章:料理番組みたいだね。

エイペックス・イニシアチブは三年をかけて、誰にも止められない存在となっていた。

だが、今夜は? 今夜は任務も、危機も、差し迫る脅威もなかった。

ただ、彼らがいるだけ。

珍しく、本部はいつもより静かだった。新兵たちは夜の外出を許可されており、つまりゼインはどこかで彼らをそそのかしてろくでもない選択をさせているだろうし、リアムはおそらくアレクサンドラに会うために抜け出す方法を見つけただろうし、ジェームズとオリオンは、元ライバルから親友になった二人が滅多にない自由時間にやるであろうことを何でもやっているはずだ。

セラフィナはデイモンがどこにいるのか見当もつかなかったが、それは妙なことだった。彼...

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