第171章:いびきをかく。

ゼイン・リヴェラという男は、これまで誰にも心を開いたことがなかった。

長年、彼は心の壁を高く保ち、誰にも近づかせず、特別な存在を作らないようにしてきた。

だがどういうわけか、テッサ・クインは、彼が築き上げたあらゆる壁をいともたやすく通り抜けてしまったのだ。

そして今?

もう、後戻りはできなかった。

翌朝

隣にある温もりを感じて、ゼインは目を覚ました。

一瞬、夢を見ているのかと思った。

だが、現実が押し寄せてくる。

テッサが彼の体に寄り添うように丸くなり、ゆっくりと穏やかな寝息を立てていた。

髪は乱れ、シーツの下からはむき出しの肩がのぞいている。そしてゼインは?

...

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