第17章

「えっ?」水原明美は少し混乱していた。この男がなぜ自分の身分を知っているのか、それに聞いたところ、彼は古崎正弘とかなり親しいようだった。

水原明美はその険しい顔つきの男を見つめた。思い出した。この男は国内で有名な御曹司、田中裕樹だ。確かに古崎正弘の友人だった。

以前、古崎家の嫁だった頃、水原明美はパーティーで田中裕樹と顔を合わせたことがあった。

相手の身元を思い出して、水原明美は吐き気を覚えた。この田中裕樹と古崎正弘は同じ穴の狢で、金と女に目がなく、悪事の限りを尽くしていた。

今、田中裕樹は非常に傲慢で、高圧的に水原明美を侮辱し始めた。

「余計な事に首を突っ込まない方がいいぞ。正弘...

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