第18章

古崎正弘に止められ、田中裕樹は焦りながら言った。「俺はお前の親友だぞ!そもそもこの件は俺が悪いわけじゃないんだ。お前の女を庇うなよ」

「ただ仲裁しているだけだ。事情は分かったし、彼女にこれ以上食い下がる必要はない」そう言うと、古崎正弘は水原明美の手を引いてその場を離れた。

アパートの廊下に立ち尽くす田中裕樹は、すっかり取り乱した様子だった。古崎正弘がわざと水原明美を庇っていることを知っていた。

正弘が庇ったとしても、こんなことで済まさないぞ!水原明美、絶対に懲らしめてやる!田中裕樹は心の中で密かに思った。

時は流れ、一日があっという間に過ぎ去った。

翌朝、田中裕樹を避けるため、水原...

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