第19章

水原明美は一時的に池田琴子を適当にあしらった。彼女は相手に心配させたくなかった。

池田琴子を見送った後、水原明美はタクシーに乗り込み、事件現場である京市東区の二階建ての別荘へと向かった。

欲に目がくらみ、水原明美はやはりこの報酬を手に入れたかった。それに、単に手がかりを探すだけなら大事にはならないだろうという甘い考えも抱いていた。

東城の事件現場に到着したときには、すでに夕暮れ時で、薄暗く、静まり返っていた。

家の外には警戒線が張られ、庭は荒れ果て、正面玄関にはまだ点々と血痕が残っていた。

水原明美は泥棒のように、こそこそと中に入っていった。

事件記録によると、被害者は鈍器による...

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