第39章 あなたを成就する

「今の裁判が片付いたら、戻ってくるつもりよ」

「それは良かった。その時はごちそうを作って待ってるからね」

「ええ」

母娘の温かい会話は、およそ一時間ほど続いた。

電話を切った水原明美は、すっかり元気を取り戻していた。そうだ、彼女にはまだ帰るべき家族がいる。落ち込んでいる暇などなかった。

昔のことについては?古崎正弘に裏切られた時、一瞬諦めようと思ったが、今考えると、やはり彼女にはできないことだった。

気持ちを整理し直した水原明美は、再び調査を始めた。現在手元にある証拠はすでに十分揃っていたので、電子データを紙の資料として印刷するため外出することにした。証拠をしっかり保存しておくた...

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