第42章 痛みと喜びの味

彼の呼吸、鼓動、そして圧迫感が水原明美を完全に飲み込んだ。

彼女は必死に押し返したが、男の腕は銅壁鉄壁のようで、微動だにしなかった。「まさか私にキスしようとしてるんじゃないでしょうね?口では嫌いだと言いながら、なぜそんなに私にこだわるの?男の心と体は別だなんて言わないでよ。本当に嫌いな相手とそんなことできるはずないわ」

古崎正弘は圧倒的な優位性で彼女を拘束したまま、シャンデリアの光が彼女の瞳に映り、その目には強情さと自分なりの誇りが満ちていた。「ついてこい」

水原明美は彼の相手になるはずもなく、彼の大きな体格と驚異的な力の前では、何の抵抗もできない雛鳥同然だった。彼に半ば抱きかかえられ...

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