第7章

五分後、三階三号病室。

水原明美はベッドの頭に寄りかかって仕事を始めた。彼女の手元にはまだ多くの案件があり、怪我で入院していても仕事を怠るわけにはいかなかった。

突然、ドアが「コンコン」と叩かれた。

「水原さん、少しお時間よろしいでしょうか?」

顔を上げると、ハイネックのスーツを着た若い男性が立っていた。彼女にはわかった。この人は古崎正弘のアシスタントだ。

「井口さん?お久しぶりです……どうしてここに?」

すぐに水原明美は一つの可能性を思いついた。きっと古崎正弘が井口隆二を寄越したのだろう。

あの男から来たものなら良いことはない。そう思い、彼女は顔を引き締めて言った。「仕事を急...

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