第112章

羽鳥汐里は自分のデスクに戻るやいなや、隠しておいたデザイン画を探し出した。捨てていなくてよかったと胸をなでおろす。これを提出した当初は、今日のような騒ぎになるとは夢にも思わなかった。

デザイン画が手元にあれば、誰にも盗作だとは言わせない。盗作した人間が、どうして元のデザイン画を持っているというのか。彼女は自信満々で、野次馬たちの顔に泥を塗ってやるのを心待ちにしていた。

羽鳥汐里はデザイン画の写真を撮った。いくつか角度を変えて撮影し、最終的にツッターに投稿する。添えられた文章はこうだ。『手書き原稿はここに。完全オリジナル。デマを流した者は必ず追及します』

黒川ジュエリー公式アカウント、ラ...

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