第135章

伊井瀬奈はにっこりと微笑んだ。

「私が彼を隠せるわけないじゃない。電話してみれば見つかるはずよ」

武藤拓真は手の中のスマートフォンを振ってみせた。

「切られたんだよ。あいつが電話を切るのは、たいてい機嫌が悪い時なんだが……まさか最近、商売で損でもしたのか?」

伊井瀬奈は肩をすくめる。「さあ、知らないわ」

武藤拓真はスマートフォンをしまった。

「義姉さん、先に楽しんでて。俺はあいつを探してくるから」

伊井瀬奈は頷く。「ええ、行ってらっしゃい」

伊井瀬奈が糖分の低いフルーツをいくつか取っていると、時枝がやってきた。

「瀬奈姉さん、どうしてこんなところにいるの? あっちでゲームや...

ログインして続きを読む