第96章

そう決めたことで、伊井瀬奈の心は軽くなった。

一日中外を歩き回っても、疲れを感じなかった。

夜、家に帰る前に、武藤拓真の家の洋食レストランで食事と赤ワインを注文した。通りすがりの店に立ち寄ると、アロマキャンドルも購入した。

今日一番の心残りは、自分がお酒を飲めず、彼が飲むのを見ていることしかできないことだと彼女は思った。

家に到着すると、伊井瀬奈はまず寝室とリビングを飾りつけ、雰囲気を盛り上げた。

野原さんは彼女が何をしようとしているのか分からなかったが、彼女がこれほど大々的に部屋を飾り付けているのを見て、手伝い始めた。これはご夫婦の仲がまた深まったのだと察し、今すぐに...

ログインして続きを読む