第6章

翌日の午後二時、私は青葉市で屈指の名門とされる「相沢法律事務所」に到着した。

午前中はずっと証拠ファイルの仕上げに費やし、今ようやく四十二階の角部屋にあるガラス戸の前に立っている。賢治は、私が昨晩まとめて送った分厚い書類の束をマホガニーの机に広げ、目を通しているところだった。

私はオフィスに入り、今や青葉市でも指折りの離婚弁護士となった旧友の姿を見つめた。

「美咲」賢治はファイルを置いた。その瞳には驚愕の色が揺らめいている。「弁護士生活十五年になるが、これほど完璧に揃った一連の証拠は初めて見たよ」

私は静かに腰を下ろし、感情を排した声で告げた。「DVによる流産を証明する診断書...

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