第9章

夕方の六時。疲れ切った両親がドアを開けると、そこにはリビングに座って二人を待つ私の姿があった。

「美咲?」

父さんはその場で立ち尽くした。警備員の制服からは、まだ消毒液の臭いが漂っている。

「どうしてここに……」

母さんは清掃用具の入った鞄を慌てて置いた。

「美咲、大丈夫なの? ニュースを見たわ。弁護士費用、高いんでしょう? 私、少しだけど貯金があるのよ……」

涙越しに、私はその帳簿を掲げて見せた。

「どうして言ってくれなかったの? 私のために、こんなことまでしてくれてたなんて」

二人は同時に固まった。その呆然とした表情に、胸が締め付けられる。

「俺たちは……」父...

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