第44章 狼を家に引き入れる

城田景行は門の外に閉じ込められ、すぐに怒りが込み上げてきた。ドアを蹴破って中に入りたい衝動に駆られた。

だが一瞬考え直す。中にはおばあちゃんもいる。あの医者も湯川優に何かするわけがないだろう。

ただ、今日は会社に行けなくなった。

おばあちゃんが狼を家に入れてしまった。彼は家にいて見張っていなければ安心できない。

二階で物音を聞いていた若林夢子は、城田景行だけがリビングで仕事をしていて他の人が誰もいないことに気づき、これは良いチャンスだと思った。

彼女は足音を忍ばせながら階段を降りていった。

一階まであと三、四段というところで、わざと軽く咳をして城田景行の注意を引こうとした。

そ...

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