第136章

井上雄太は男が好きではなかった。彼は群衆の中の高橋隆一に向かって文句を垂れた。

「お前の従業員はいったい何なんだよ。こんなくだらないアイデアを思いつくなんて?」

高橋隆一は周囲の人々より頭一つ分ほど高く、群衆の中に立ち、表情は淡々として、ただ面白がっているような様子だった。

藤原樹がマイクを持ってきて尋ねた。

「こんなことをこれだけの人前でやるのは適切じゃないよね。難易度を下げて、手を繋ぐくらいならいいんじゃない?」

司会者は眉を上げて言った。

「それは会場の皆さんに聞いてみましょう。みなさん、いいですか?」

群衆は口を揃えて答えた。

「ダメー!」

井上雄太は死にたい気持ち...

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