第151章

高橋隆一はこのような場面を見るのも初めてではなかった。山本美咲が帰国して以来、発作を起こす回数は数えきれないほどだった。今回が以前と違うのは、お腹に子どもがいることだ。

その子は彼の子どもだ。

間違いなく山本美咲は彼を脅すための新たな切り札を手に入れたのだ。

自分がしでかした愚かな行為のせいで、彼はこのまま手を引くわけにはいかなかった。時間をあの夜に戻すこともできない。もし今日のような事態になるとわかっていたら、死んでも彼女と酒を飲んで旧交を温めたりしなかっただろう。

高橋隆一は黙り込んだ。部屋にいる二人の老人など見たくもなかった。特に山本健一は。彼は山本美咲に向かって言った。

「...

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