第49章

警察官の視線は三人の間を疑わしげに行き来し、心の中で今日の大事件に驚いていた。自称「社長奥さん」の女性が実は社長奥さんではなく、盗みの被害者が本当の社長奥さんだったのだ。

しかし、これらの名家の私生活に関しては警察官の管轄外であり、彼らの任務は事件を解決することだ。

警察官は好奇心を抑えながら山本美咲に尋ねた。「お母様の遺品は……」

話の途中で高橋隆一が遮った。「遺品？美咲ちゃん、お母さんは家で元気にしてるじゃないか？」

警察官はもう何も聞く必要がなかった。要するに、愛人と正妻の間の確執であり、家庭内の問題は警察官が介入するべきではない。しかも高橋ジュエリーの社長が関わっている。

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