第74章

渡辺美代は深く息を吸い込み、少し冷静さを取り戻した。彼女の細い腕を高橋隆一の肩にかけ、軽く押した。

「隆一さん、起きて」

このままでは自分を抑えきれなくなりそうだった。

彼女の弱い意志力は、お腹の中の小さな命に支えられていた。

高橋隆一は彼女を放し、首筋に顔を埋めて荒い息をついた。

「美代ちゃん、手伝ってくれないか」

渡辺美代は一瞬戸惑ったが、彼の手が彼女の手を導いて熱い場所に触れさせた瞬間、彼の言う「手伝い」の意味を理解した。

二人は三年間一緒にいたが、彼女はまだ一度もこんなことをしたことがなかった。いつも彼が直接行動に移していたので、彼が自分を苦しめることはなかった。

「...

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