第11章

 集中治療室に、私は二日間いた。

 その二日間、神谷陽輝は片時も私のそばを離れなかった。

 私が目を覚ましている時間は、次第に短くなっていった。

 ある時、ふと意識が戻ると、無精髭を生やしてやつれ果てた神谷陽輝の顔が目に入った。

 突然、彼が哀れに思えた。

「神谷陽輝」

 私が呼ぶ。

「いるよ! 雪奈、ここにいる!」

 彼はすぐに身を乗り出し、枯れ木のような私の手を握りしめた。

「別荘に帰りたいの」

 私は言った。

「あの火鉢が見たいわ」

 彼は一瞬呆気にとられたが、すぐに狂ったように頷いた。

「ああ、帰ろう。家に帰ろう」

 彼は、私が二人の愛の巣に戻りたがってい...

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