第6章

 再び目が覚めた時、私は病室にいた。

 だがベッドの上ではなく、点滴室の片隅だった。

 神谷陽輝はいなかった。

 若い看護師が点滴を交換しに来て、私が目覚めたのを見て同情的に言った。

「気がつきましたか? 旦那様はVIP病室の林さんのところへ行かれましたよ。低血糖で倒れたそうです。これからは栄養に気をつけてくださいね」

 低血糖。

 どうやらあの医師は精密検査をしなかったか、あるいは神谷陽輝に止められたようだ。

 都合がいい。

 私は手の甲の針を引き抜き、出血箇所を押さえながら、ふらつく足取りで病院を出た。

 外は白み始めていた。

 タクシーを拾い、別荘へ戻った。

 今...

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