第20話

洗面所のドアが開き、易小森が深灰色のカジュアルウェアに着替えて出てきた。長身からは少し慵懒さが漂い、薄い唇は平らに引かれ、冷たい目元を伏せながら顔離のほうへ歩いてきた。

顔離は彼の目を見つめ、少し目を細めた。

無表情の彼は、本当に震えるほど冷たいと思った。

「帰らないのか？」彼は二鐘に尋ねた。

二鐘はゆっくりと目を見開いた。

「いや、また俺を追い出すのか？前回は真夜中に追い出されて、道端で一晩中風に吹かれて、一週間も風邪引いたんだぞ。帰らないよ」

二鐘は椅子に深く腰掛け、どっしりと座り直した。

「修理工場には寮があるだろう」彼は低い声で言った。

「言うなよ、工場で布団も温めてた...