第31話

「何をするつもりなんだ？お前は……」

顔離は振り返り、視線を遠くの一本のクスノキに落とした。冷たい風が顔に叩きつけ、自然と細長い目を細めた。

「あの木が見えるか？お前があえてあっちに走って奴らの注意を引いてる間に、俺が中に潜り込んで銃を取る」

彼女の口調は淡々としていたが、その落ち着いた態度の中に血に飢えた殺気が走った。表情は沈み込み、冗談めかした様子は微塵もなかった。

夏子坤は表情を硬直させ、ぎこちなく二、三回笑って、思わず彼女に親指を立てた。

「あのクスノキを過ぎれば、この場所から出られる。外は人が多いから、奴らはお前を捕まえるのは難しいだろう。行きたいんじゃなかったのか？早く行...