第12章 なりすまし

人目を忍ぶ必要さえないほど、辺りは静まり返っていた。速水ミオ自身も、衰弱しきって意識を失っている。

速水ナナは迷わず、忍び足で分娩室に入り込んだ。手際よく傍らに用意されていた小さなおくるみを手に取り、赤ん坊を包み込む。

「あう、あぅ……」

赤ん坊が手足を震わせ、低い声を漏らす。

ベッドの速水ミオが何かを感じ取ったのか、眉を寄せ、唇を微かに動かした。

速水ナナは恐怖で足がすくんだ。慌てて手近にあった血の付いたガーゼを掴み、赤ん坊の口に押し込む。

赤ん坊は泣き止み、速水ミオも再び静かになった。

速水ナナはもはや一刻の猶予もないと悟った。赤ん坊を強く抱きしめ、東雲カイが待っていること...

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