第16章 芝居はもういい、座って話そう

その夜、速水の父と母がやって来た。

事前に連絡があったため、速水ミオは東雲シオに頼んで子供を預けてもらい、一人で家で待っていた。

「ミオ」

玄関に入る前から、速水の母が震える声で呼びかけてきた。

「辛かったでしょう、ミオ」

速水ナナに支えられてリビングに入ってきた彼女は、速水ミオの姿を見るなり目元を赤くした。片手で口元を押さえて嗚咽をこらえ、もう一方の震える手を速水ミオへと伸ばす。

かつて彼女がいかに自分を憎んでいたかを目の当たりにしていなければ、速水ミオも、母親としての愛情が多少なりとも残っているのだと錯覚していただろう。

彼女は立ち上がり、あえて速水の母と視線を合わせずに淡...

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