第39章 LはS市にいる

黒崎リクがリュックのベルトを両手で握りしめ、ぽっちゃりとした体を揺らしながら走ってくる様は、まるで丸々とした砲弾のようだった。

彼は速水カノンの前で急ブレーキをかけ、荒い息を吐き出す。

「あの日、なんであんなに急いで帰っちゃったの? 僕の妹を紹介しようと思ってたのに」

黒崎リクは人懐っこいというか、少々馴れ馴れしいところがある。速水カノンとは一度会っただけだというのに、まるで旧知の仲のように振る舞い、ませた様子でカノンの肩を叩いた。

速水カノンは眉をひそめ、さっと一歩後ろに下がって速水ミオの背後に隠れた。

「どうして私があなたの妹と知り合いにならなきゃいけないの?」

この子は幼い...

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