第10章 彼女が死にたいなら刀を渡す

私のお父さんお母さんの命日も今度の土曜日なんです。

午前中に病院での検診が終わったら、お墓参りに行けます。

そんなに時間はかからないはずです。

でも、なぜか心の奥で不安を感じて、確信を持った言葉が言えないんです。

昨日、藤原和也に妊娠したことを直接伝えることができなかった。

そして今も、中川桜に藤原和也を連れていくと断言できない。

計画通りにいかないことを恐れているんです。

藤原和也と藤原朋美の関係は、私の心の中では時限爆弾のよう。

中川桜は私の消極的な様子に気づき、藤原朋美のオフィスに目をやりながら「あのパテック・フィリップの件、藤原和也は解決したの?」と聞いてきた。

「...

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