第12章 藤原和也、離婚しましょう

三度目だった。

三度彼に伝えようとしたのに、三度とも拒絶された。

縁がなかったのだろう。

今となっては、彼に伝えなかったことを幸いに思う。そのほうが離婚するときにすっきりするから。

J市はこんなに広いのだから、離婚したら、顔を合わせることすら難しいだろう。

もしかしたら彼は一生知ることもないかもしれない、私たちの間に子どもがいることを。

中川桜は私の考えを聞いて、同意してくれた。「子どもだってクズ父親なんて望まないわ。言わないのが正解よ」

点滴が終わって病院を出たとき、まだ午後2時過ぎだった。

中川桜は私の腕を取りながら駐車場へ向かい、言った。「あなたの車は修理に出したわ。結...

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