第16章 俺の妻は伊藤絵里

時間を見ると、すでに午前2時過ぎだった。

彼は藤原朋美と一緒に退社したんじゃなかったのか。

どうして西村炎たちと飲みに行ったのだろう。西村炎の言い方からすると、藤原朋美はその場にいなかったようだ。

もう一度電話をかけてみるが、電源が切れている。おそらくバッテリーが切れたのだろう。

私は服を着替えて外出し、タクシーで彼らがいつも集まる行きつけの場所、あるプライベートクラブへと向かった。

到着した頃には、ほとんどの人がすでに帰っていた。

個室には西村炎と田中悠斗だけが残っていた。

そして高級オーダーメイドスーツを着て、長い脚を組み、ソファで安らかに眠っている藤原和也がいた。

私を...

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