第30章 愛されないのが浮気相手

人前での藤原和也の表情は、いつものように冷淡だった。

黒いコートがさらに近寄りがたい強烈なオーラを纏わせていた。

彼が一歩一歩近づいてくるにつれ、わたしは急に不安になってきた。

この件は、大きくも小さくもなり得る。

小さければ金銭で解決、大きくなれば……

藤原和也のJ市での権力をもってすれば、中川桜を刑務所に入れるのも造作もないだろう。

そして間違いなく、彼は藤原朋美を守るはずだ。

予想通り、彼は藤原朋美の隣に立ち、目を伏せながら薄い唇を開いた。「どう処理したい?」

わたしの手のひらが急に強張った。藤原朋美が口を開く前に、中川桜がわたしを後ろに引っ張った。

「自分のしたこと...

ログインして続きを読む