第35章 彼は私に全身検査を受けさせに行く

このこと、もう頭から消えたことなのに

まさか彼がまだ覚えているなんて。

私は柔らかいコットンで顔の水気を拭き取った。「大丈夫よ、何ともないわ」

彼は眉をひそめた。「昨夜は具合が悪かったんじゃないのか?」

「……」

まさか、先生から妊娠初期の三ヶ月は性生活を避けるよう言われていると言えるわけもない。

適当にごまかすしかなかった。「もう良くなったから」

彼は疑わしげに「本当に?」

行くとしたら、藤原家系列のプライベート病院で、特別なルートで案内されるはず。

待ち時間もなく、検査結果もすぐに出る。

でも、そうなると妊娠のことを隠し通すことなど不可能だ。

どう考えても行くわけに...

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